アメリカ『Fortune』誌が毎年発表している、アメリカ版「働きがいのある会社ベスト100」そんな、アメリカにおけるランキングで2017年の第1位に輝いた企業それがおなじみの「Google」です。
Googleは同ランキングにおいて、11年間でなんと8回もの1位を獲得、まさにアメリカを代表する巨大企業でありながらアメリカを代表する働きやすい会社となっています。ここでは、そんなGoogleから、新しい働き方における個人と企業のかかわりについて考えてみたい。
強い従業員エンゲージメントの秘訣
・その中心にGoogle流マネージャー像あり
Googleはその働きやすさとともに、強い従業員エンゲージメントでも知られています。
一般にGoogleのそのような従業員エンゲージメントの中心にあるのは、アミューズメントパークのような自由で創造的な会社内の雰囲気づくりにあると言われていますよね。
もちろんそれも大きな一つの要因ではあるでしょう。
しかし、実は、Googleの持つ高い従業員エンゲージメントの秘訣には、Googleにある特徴的なマネージャー像が関係していると言われているのです。
つまり簡単に言えば、社員の向上心と独創性を主体的に発揮する力、高める上司、という言い方をしてもいいでしょう。下手をすると、日本では上司の存在が、向上心も独走性も主体性も奪ってしまいかねないというのに、一体Googleにはどんな秘訣があるのでしょうか。
導き出された8つの基準
Googleが、その高い従業員エンゲージメントを引き出すマネージャー像として導きだしたのは、8つの特徴。それがつぎの8つです。
1.『良いコーチであること』命令を下す人間でなく、気づきを与える人間
2.『チームを勢いづけ、マイクロマネジメントをしない』
細かいことにこだわらないモチベーターとしての役目
3.『メンバーの成功に関心を持ち、積極的に関与する』傍観者ではなく参加者であること。
4.『生産的かつ成果主義である』結果はプロセスの延長戦上にある。
5.『良いコミュニケーターであること』人間関係の起点として存在する。
6.『部下のキャリア開発を支援する』部下にとって仕事の上役でなく人生の先輩であること。
7.『チームのための明確なビジョンと戦略を持つ』ぶれない信念と柔軟な対応力
8.『チームにアドバイスできる技術的な専門知識を持つ』すぐれた相談者としてのスキルを身につける。
ぱっと見た感じ、確かにうなずける点が多いのが分ると思いますが、ここには日本の上司に必須のある観点が抜けています、それは「管理者」としての観点です。
管理者ではなく、働きやすい環境の作り手として。
日本の企業において、上司とは部下に仕事をさせ管理する立場の人間です。
しかし、Googleの8つのポイントには「部下を管理する」や「部下を教育する」などはありません。ましてや「部下を叱る」なんて言葉は出てきません。
そこにあるのは、部下といかに適切なコミュニケーションをとり、そして部下をいかにやる気にさせ、そしてどうやって部下の力として支えられるのかという観点ばかりです。
つまり、Googleの考える上司像とは、働かせる上司ではなく、働きやすくする上司。言い換えれば、部下が働きやすい環境を作る、働きやすい場を作る上司だという事です。働き方の改革を宣言するだけではなく、力を引き出す場所、環境を用意するのが上司の仕事なのです。
そこにあるのは部下の主体性を信じ、独創性を育てる環境の構築にこそあります!
こうしてGoogleは主体性を持って働ける環境を作り、強い従業員エンゲージメントと共に、革新的なサービスを生み出してきたのです。
働く満足度の高さの秘訣
・フラットでシームレスな情報伝達。
Googleで働く満足度を考える上で欠かせないのが、情報の大切さに対する考え方です。
Googleのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」とされていますが、それは会社の中でも同じ。
たとえば、社内の情報も、全世界6万人の従業員が等しく手に入れられます。普通の企業であればカスケード、つまり上から降りてくる情報も、Googleではフラットにシェアされていく感覚で”広まっていく”感覚なのです。
何せ、創業当時から続く全社員ミーティングが今も行われ、全ての社員が創業者の声とプランを聞けるのです。そうして与えられた情報を元に、それぞれが同じ方向に向けて独自の発想で仕事を切り開いていく。
大目標だけ情報として与えられ、あとはセルフ・スターター、Googleで言う所の自立的主体性の中で働いていくことになるのです。
失敗を拒絶しないカルチャー
有名なGoogleの20%ルール。
これは仕事のうち20%は自由に働くことができるというものですが、この20%は自分の仕事ではないこと、つまり多くは他の職種を経験することに使われます。
確かに、これは独創性を養いますが、しかし、当然門外漢ですから、失敗はつきもの。
ところがGoogle内においては、失敗とはむしろ拒絶されるものではなく、歓迎される、もしくは失敗こそ欲されていると言ってもいいのです。
というのもGoogleにおいて失敗とは、新しい何かにチャレンジした証であり、そこで何かを学習した証だからです。
この、新しい何かに挑戦し、そして失敗することも拒絶せずむしろ歓迎するというGoogleマインドが、どれほど社員のモチベーションに反映されているかは言うまでもありません。
長時間労働は美徳ではない
たくさん働く。日本においては美徳であるそれがGoogleでは全く美徳とされていません。
むしろ、短く効率よく働けるのならそれがいいという考え方で、仕事時間や会社に出勤するかどうかまで自由裁量の中にあります。
社員はとにかく自由に、自分にとって最も適した働き方の中で、裁量を選んで働きます。
そして会社は、そんな社員が働きやすい環境を提供し、コンフリクトや障害を取り除き、互いが、大目標に向けて結果を出していく。
そこには、会社と社員の絆、企業と個人との理想的な関係があると言っても過言ではありません。
まとめ
いかがでしたか。
Googleに学ぶ新しい働き方のカタチ。
もちろんこれを即座に日本の企業に採用することは、なかなか難しい事です。
しかし、この中に隠れているたくさんのヒントからより良い会社づくりを目指して改革することはできます。
学ぶべきはシステムではなくマインド
そのマインドを手に入れたとき、そこには新たな働き方のカタチとともに、思いもよらないシナジーが生まれてくることでしょう。
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LeverageShare編集部
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