70歳のお祝いである古希は、中国の詩人である杜甫の「人生七十古来稀なり」という言葉をもとに作られたそうです。昔は、70歳と言えば非常に稀な長寿の象徴だったのでしょう。しかし現代では、100歳まで生きることもそれほど珍しいことではなくなりました。
人生100年時代を私たちはどう生きればいいのか?という問いに対して説得力のある提案をしてくれているのが『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』です。
お金に換算できない「無形の資産」の重要性
人生が100年あると考えると、これまで提唱されてきたような「教育→仕事→引退」という3ステージの人生を歩むだけでは足りなくなると言えます。これからはステージの移行を多く経験することになる「マルチステージ」の人生を歩むことが一般的となるでしょう。
長寿を生きる上で、お金などの有形資産ももちろん大切です。そして同時に家族・友人、知識、健康などの無形資産を管理していくことも非常に重要と言えます。本書では無形資産を生産性資産、活力資産、変身資産の3種類に分類しています。
無形資産は見えない資産ですが、充実した100年時代を生きるために欠かせないものであることが『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』を読むとよくわかるでしょう。
変革を恐れるのではなく自ら再創造する
投資するという考え方は、もしかしたら貯金が大好きな日本人には少々なじみのない考え方かもしれません。しかし、変化をしないことは現状維持ではなく退化です。これからの時代に必要なのは、「見えない資産」に投資を続けたり、現状に満足することなく柔軟に自分を再創造(リクリエーション)できる力と言えます。
世界は凄まじいスピードで変化しています。長寿社会の到来はもはや揺るぎない事実です。いたずらに怖がるのではなく、どのように受け入れかつ自分の人生を充実させる為にどうすればいいのかについて、豊富なシナリオを紹介してくれています。
人生100年時代は、多くの人が経験したことがない未知の領域です。それ故に、チャンスが豊富と言い換えることもできます。人類の歴史を振り返ってみても、転換期は幾度もありました。そしてその度に時代の変化を受け入れて活かした人ほど発展しています。今後の社会を、個人レベルまた会社などの大きな単位で乗り切るためにも、より高い視点から社会を見つめることが求められています。
現実的に考える
誰もがまだ人生100年を十分に生ききってはいません。それ故に、この著書に書かれていることが全てピッタリ当てはまるという状況はないかもしれません。しかし、この本を読むことで、リアリティーを持って100年生きる人生を考えることができるようになるのは確かです。鳥の目でより遠くまで見渡すことができます。大事なのは、これからを自分がどのように生きるかです。その一つの指針にはなると言えるでしょう。
また、本書の最後には、「変革への課題」として、長寿社会の影響や対処の為の提言がまとめられています。こちらを読むことは、組織マネジメントをしている立場の人にとっても極めて有益と言えるでしょう。現在は個人だけでなく、企業や社会においても、システムを変革していくことが求められています。そんな意味でも個々が自律的に主体的に生きていければ、思い描いた人生を自ら引き寄せて創り出すことも可能なのです。
人生100年時代は決して暗い時代ではありません。少し先の未来を予測して今から現実的に動くことができれば、積もり積もって明るい未来を自ら手に入れる可能性が断然高くなります。そのガイドとして本書を見ることをオススメします。
まとめ
世界の中でも日本の平均寿命は伸びています。前作「ワーク・シフト」も話題性十分でしたが、人生を考えた時『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』のような良書は国内からはまだ出ていません。これからの時代を切り抜ける知恵を身につける意味でも、一読の価値ありです。
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LeverageShare編集部
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