「生産性」を高める方法が、「経営者の変化」以外にもある?
以前、生産性が上がらない「課題の本質」は、問題を理解し、成功までの導線をつくる「プロデュース型人材」がいないことが原因としてこのブログで取り上げました。そして改善するためには、プロデュース型人材の重要性を理解して、自ら変革させようとする「経営者の意識や資質」、これこそがすべてだと提言しました。今回、この「生産性」に関わる興味深い記事があったため、第二弾としてお伝えしたいと思います。
2016年3月、米グーグルが、2012年に開始した労働改革プロジェクトの全貌を発表しました。社員の生産性を極限まで高めるには、どうすればいいのか――。その調査から導きだされた結果と、結論に至る経緯を独自の視点で考察していきます。
"What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team" The New York Times, FEB. 25, 2016
「生産性」の謎を追った、グーグルの「プロジェクト・アリストテレス」。
グーグル社内には様々な業務に携わる数百のチームがあるとされていますが、その中には生産性の高いチームもあれば、そうでないところもあります。同じ会社の従業員なのに、なぜそのような違いが出るのでしょうか。
グーグルはこの謎を解決するために、ひとつのプロジェクトを開始しました。これが「プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)」と呼ばれ、同社の「人員分析部(People Analytics Operation)」によって実施されたものです。
生産性は、個人と企業の成長を同時に達成させるものであり、このメカニズムが解明されれば、個人にとっての新しい働き方がどんどん推進されるものになるでしょう。当サイトのコンセプトにも近しく、大変興味深い実験です。早速その中身を見ていきましょう。
成功するチームは何をやっても成功し、失敗するチームは何をやっても失敗する。
生産性において成果の異なるチームを、様々な角度から分析して、より生産性の高い働き方のセオリーを見つけることが、彼らのミッションでした。
分析の対象として、初めに重視したのは「チームワーク」。たとえば、同じチームメイトは、社外でも親しく付き合っているか、一緒に食事をするかなど、多岐にわたる調査と観察を行いました。しかし、パターン抽出が得意なグーグルでさえ、共通するパターンは見つからなかったそうです。
次に焦点を当てたのは、「チーム規範」でした。ここでの規範とは、チーム内で共有する「暗黙のルール」や「行動規準」、「チーム・カルチャー」のようなものを指しています。……が、しかし調査の結果もむなしく、この点でも目立ったパターンは抽出されませんでした。
共通するパターンが見つからないままに、唯一発見できたのは「同じ人でもチームが変わるとダメになる」という結果。グーグルのチーム編成は固定化していません。一人の社員が同時並行的に複数のチームに所属し、プロジェクトに従事しています。驚くべきことに、片方のチームの生産性は高くでも、もう片方が低いことはめずらしくない。
つまり個人の優劣に関わらない、「成功の法則性」があることを示しています。成功するチームは何をやっても成功し、失敗するチームは何をやっても失敗する、ということが判明したのです。
「自分らしく」働けるチームは成功する。
改めてアカデミックな点から調査して判明したのは、成功するチームメンバーが「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタル的な要素を重要視しているということでした。
たとえば、一つのチーム内で誰か一人だけ喋り、他のチームメイトがほとんど黙っているチームは失敗して、逆に全員がほぼ同じくらいの時間をもって発言しているチームは成功する。これは規範の有無の問題ではなく、自然にそうなるような雰囲気がチーム内で醸成されるということが重要だということです。
多くの人にとって、仕事は人生の時間の大半を占めるものでしょう。仕事用の仮面を被って生なくてはならないのは、あまり幸せな人生とは思えません。成功するチームでは、一人の人間が、「仕事用の別の人格」を作り出すことなく、「本来の自分」で働いていました。
これこそが、生産性を上げるヒントです。社員一人ひとりが会社で本来の自分を曝け出し、それを受け入れるための他者への共感力を醸成することが、間接的にチームの生産性を高めることにつながっているのでした。
さて、以上のグーグルの調査結果をふまえ、あなたのチームをよく観察してみましょう。雰囲気の醸成を図るのは簡単ではありませんが、チームの生産性を下げているきっかけや要因がが見えてくるかもしれません。
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LeverageShare編集部
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