資本主義はもはや限界なのか?
20世紀は大量消費の時代でした。資本家が投資して会社を作り、消費が刺激され、経済活動が拡大するサイクルが目まぐるしく発展しました。いわゆる「資本主義」のことです。しかし、その資本主義がそろそろ限界を迎えているのではないかという見方が最近妙に話題になっています。
兆候として、格差が広がっていることも話題となりました。興味深いデータとして、世界の資産は「もっとも裕福な62人と世界人口の半分にあたる下位36億人の資産が同じ」という統計結果が出ています。
上へ上へとひたすら発展を目指す大量消費・大量生産・大量廃棄の時代は、すでに成長の余地がなくなってきていると考えるのも極めて自然であることがわかります。それでは、今後の社会は富める者だけ富み、貧しい者はより貧しくなってしまうような暗い時代でしょうか?そうとも言えません。
新しいモデルとして「共有型経済」という考えが生まれています。
「共有型経済」とは?
今まではとにかく消費を刺激してたくさんのものを作り出すことが経済発展につながると考えられていました。しかし、まわりを見渡してみればわかるとおり、すでにものは溢れかえっています。山積みの環境問題にも発展するほど廃棄物も多いです。
そこで今後は、すでにある物を活かしソーシャルメディアなどを通じてサービスや物を共有する「共有型社会」が発展してくるという見方が徐々に広まってきています。
モノを買うことで喜びを感じるという考え方は、現代の日本にまだまだ深く染み込んでいる思考です。例えば4人に1人が失業していると言われるスペインでは、お互いの作った食べ物を交換することで人間関係を深め、食事ひとつ取っても、単に栄養を取り込む手段ではなく、コミュニケーションの一つとして考えられています。共働きで忙しく、食事はレトルトや冷凍食品ばかりの生活を送っている東京の人達とは価値観が大きく異なります。
一昔前の日本は「共有型経済」タイプ
『この世界の片隅で』という映画が近年ヒットしましたが、あの映画で描かれている一昔前の日本を想像するとわかりやすいかもしれません。
昔は物が少なかったこともあり、必要なものを必要な時に隣近所で協力して貸し借り(シャアリング)をしながら、個人単位というより1つの共同体(村・町など)単位で発展してきた歴史があります。
シャアリングすることは恥ずかしいことではなく、むしろ人と人との繋がりを豊かにし、絆を育みながらともに成長していけるモデルと言い換えることができます。アメリカの著名な文明評論家のジェレミー・リフキン氏は、資本主義に代わって「共有型経済」が発展すると大胆に予測し、すでに14ヵ国語で出版させるほど世界的ベストセラーとなっています。
「資本主義」からより幸福な社会への発展へ
2012年にリオデジャネイロで行われた世界会議を覚えているでしょうか?環境が悪化した地球の未来を話し合うために世界各国から代表者が終結しました。しかし、誰ひとりとして有効な提案ができない中、質素な身なりの小国の大統領が登壇します。そこで彼が静かに語った話に、世界中の人が驚きました。
その人こそ世界で一番貧しい大統領として話題になったウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ氏です。ムヒカ氏は現代資本主義に鋭く警鐘を鳴らしました。「貧乏とは少ししか物を持っていないことではなく、無限に欲があり、いくらあっても満足しないこと」さらに、自国の例を挙げながら、世界規模の問題を解決するとは、よりシンプルな生き方ではないかと提唱しました。ムヒカ氏が示した、人間同士が緩やかにつながり、ともに発展していくモデルは「共同型社会」と通じています。
まとめ
世界の各地で「共有」や「価値観による消費」など新しい概念が少しずつ広がりつつありますが、現在の日本では、社会システムの舵取りをする人たちがどんどん幼稚化し、「変化だ!改革だ!スピード感だ!キャッチアップだ!バスに乗り遅れるな!」などと、声を立てて国民を煽り、敗者はどんな目にあっても、努力が足りなかった自分が悪いと一方的に非難されます・・・。
身近なところでも、資本主義のほころびは見え始めていると思う人は潜在的に多く存在するのではないでしょうか?
地球という1つの星で人類が発展していくためのモデルとして「共同型社会」という社会システム。「お金があれば、幸せになれるのか?」そんな視点でビジネスを展開することができれば、大きな潜在ニーズやチャンスはそこらへんに転がっているのではと思えてなりません。
生活に必要のないものを徹底的に削ぎ落とし、何かお金以外のモノに喜びを感じる「価値観のリセット」!確かにそんな傾向に移行しつつありますね。
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LeverageShare編集部
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