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個人と組織の成長を促進するために必要な「ポジティブ心理学」の考え方と実践方

個人と組織の成長を促進するために必要な「ポジティブ心理学」の考え方と実践方

「働きがい」はどうやったら向上していくのか?



「もっと働きがいのある仕事をしたい」


「やりがいのある仕事ってなんだろう」

現代の多くのビジネスマン達から多く挙がってくる、上記のような希望や悩み──。調査会社における近年の統計によると、国内で「仕事について働きがい・やりがいを感じられている」という従業員の割合は、20%以下だそうです。経営者やマネジメント業務をされている方々は、そんな部下や同僚の想いに、普段どのように接しているでしょうか。

  「充実して働きたい」「自分の力を最大限発揮したい」という感情は、働く人なら誰しもが持ち得ているものでしょう。そしてその気持ちは、多くの経営者、マネジメント層の方も推奨しています。「是非、やりがいを持って精力的に業務に取り組んでほしい」「自発的、自律的に業務を遂行していってほしい」──と。

  ですが実際は、従業員側は組織に対して「今の仕事はやりがいがない」「働きがいがない」という不満を持っていることが多く、経営者、マネジメント層側は従業員に対して「自発性がない」「受け身な仕事をしている」という不満を持っていることが多いようです。従業員も経営者も、ほぼ同じものを求めている・望んでいるのにも関わらず、なぜこのような不満の蓄積に繋がってしまっているのでしょうか?

そもそも、「働きがい」「やりがい」とは何か


 そもそも、働きがいややりがいのある組織とはどんな組織でしょうか。

とある人事コンサルティング系の会社では長年の調査結果に基づいた結論として、「働きがいのある会社」を「従業員が、勤務している会社や経営者・管理者を信頼し、自分が行っている仕事に誇りを持ち、一緒に働いている仲間と連帯感が持てる会社」と定義しています。
◇働きがい・やりがいのある会社とは──
従業員が、
1)勤務している会社や経営者・マネジメント層を信頼し、
2)自分が行っている仕事に誇りを持ち、
3)一緒に働いている仲間と連帯感が持てる会社

とても分かりやすい定義ですし、お読みになられている方の多くも、納得感を持てるのではないでしょうか。ですが、「経営者・マネジメント層を信頼する」というのは、具体的にどういう点を持って信頼していくのでしょうか?

「自分の仕事に誇りを持てる」というのはどんな時でしょうか?更には、「一緒に働いている仲間と連帯感が持てる」というのは、どのような状況でしょうか?──そしてそもそも、「私(または私の組織)における働きがい・やりがいは、上記の定義と当てはまらない」という意見が出てきたときは、どうすれば良いでしょうか。

無理やり上記の定義に押し付けてしまったら、更に働きがい、やりがいが感じられなくなってしまった──ということにもなりかねません。

 つまり、「働きがい」や「やりがい」は、一定の概念的な定義を打ち出しつつも、そこから先、行動に結びつけていくためには各組織、そして各個人が、より納得性の高い、具体的な解釈を探求していく必要があるのです。そして、それらの探求が、組織(経営者・マネジメント層の働きかけ)と、個人(従業員の自発的行動)の双方からの協創的アプローチをしていくことによって、はじめて組織としての「働きがい、やりがいの向上」に繋がっていくのです。

 働きがい、やりがいをより具体的に見出していき、組織レベルで向上していくためのアプローチ──その際に役立つのが、「ポジティブ心理学」の考え方です。

ポジティブ心理学とは何か


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 「ポジティブ心理学(positive psychology)」とは、個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する、近年注目されている心理学の一分野です。簡単に言うと、「組織や人生をより充実したものにする」であったり、「強みやポテンシャルを活かす」といった、その名の通りポジティブな側面をフォーカスしていく働きかけのことです。

 「なんだ、当たり前のことではないか」と思われた方もいるかもしれませんが、ポジティブ心理学としての考え方が浸透される前は、世の中は「疾病モデル」と言って、現状足りないところ、不足しているところにフォーカスしていく働きかけが主でした。
□ 疾病モデル

 すべての課題、問題点(「疾病」や「病巣」に例えられる)には、特定できる外的な原因があり、その原因を特定すること、および、それへの対処である治療は、専門家によって行われるべきことである、という考え方。そして、専門家がそれらの課題、問題点の原因を取り除くことで根本的な治療がもたらされる、という解釈を持つ。

 疾病モデルは、物事の「原因」にフォーカスし、原因を解決(ときに除去)することによって対処して行くという考え方です。それに対して「ポジティブ心理学」は、物事の「目的」や「目標」、「ありたい姿」にフォーカスし、そこへのアプローチ手法を見出していこう、という考え方です。

 なぜ、ポジティブ心理学がフォーカスされるようになってきたか──。それは、人の活動パフォーマンスは、外的な要因よりも、内的な動機付け、それこそポジティブ感情によって左右される割合がはるかに大きいことが確認されているからです。

そして、近年多くの企業で重要視するようになってきている、「働きがい」・「やりがい」もまた、働く人の内的な動機付け、ポジティブ感情に大きく関与する──つまり、ポジティブ心理学的アプローチが非常に有効な分野なのです。

 ポジティブ心理学的アプローチを行うことによって、人または組織は以下のメリットを享受できるといわれています。
 ・ 視野が広がり、広範囲の情報・資源を取り寄せることができるようになる。
・ 問題そのものへの対処というよりも、長い目で見てプラスになるような効果 (=中長期的成長)をもたらす。
・ クリエイティブ(創造的)な思考活動を促進する。
・ 作業に心から熱中する状態(フロー状態=自分が「流れていく」状態)に入りやすくなる。
・ 社交的になり、対人関係の促進をもたらす。
・ 対人間の葛藤を減らし、援助行動を促進する、
・ 個人個人の「受容性」(物事を受け入れる力)を高め、その結果として永続的な「成長」を促し、更に成長や新しい経験のきっかけとなりうる、様々な機会創出への働きかけに繋がる。

 このようにみると、ポジティブ心理学は非常に良いこと尽くしに感じられるかもしれませんね。ですが、何事も言うは易し、行うは難しです。次からは具体的なポジティブ心理学の実践方法を見ていきましょう。

ポジティブ心理学を組織で実践する場合は


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  ポジティブ心理学を組織で実践する際は、以下の手順に沿って進めるのが効果的です。個人での取り組みとしても効果的ですので、是非参考にしてみてください。

■ Step1 自身また自組織が掲げていきたい「強み」は何かを見出す


 自身または自組織の「働きがい・やりがい」に通じるような「強み」として何を掲げたいのかを探求します。例えば、ポジティブ心理学において、「人間には6つの美徳と、それを支える24の強みがある」とされています。
■ 6つの美徳と、24の強み

 ・知恵と知識
 好奇心
 学習意欲
 判断力
 独創性
 社会的知性
 将来の見通し

・勇気
 勇敢
 勤勉
 誠実

・愛情と人間性
 思いやり
 愛情(愛する力・愛される力)  

・正義
 協調性
 公平さ
 リーダーシップ

・節度
 自制心
 慎重さ(思慮深さ)
 謙虚さ

・精神性と超越性
 審美眼
 感謝の念
 希望
 精神性
 寛容さ
 ユーモア
 熱意

 これらの美徳、強みの中から、「これを培うことに、満足感、充足感を持てる」「働きがい、やりがいにつなげられる」といったものを選んでいきます。上記要素以外でも、「こういう要素が、自身と周囲の環境に役立てられる」というものがあれば新たな要素を掲げていただいて結構です。

その上で、選んだ要素について、以下についても考えていきます。
・その要素を高めると、具体的に自身と周囲にどのような幸福やメリットを与えられるか
・その要素を高める為に、自分は何をしていくとよいか
・日頃の活動で、その要素に関われるようなことは、どのようなことがあるか

■  Step2 掲げていきたい「強み」を仲間と共有しあう


 Step1で見出した、「掲げていきたい強み」を仲間と共有しあいます。ここで、伝えられた内容で感じたことを相手にフィードバックしていくと良いでしょう。フィードバックをしあうことにより、自身の掲げる強みに対してイメージを強く持てるようになります。

 「引き寄せの法則」でもあるように、言葉にされた想いというのは力を持ち始めます。また、実現のために他者からの助けを得られることもあるでしょう。

 組織単位で議論していく際には、個人が掲げた強みを、より価値発揮していける為の新たな提案もあるかもしれません。このステップでは、そうやって個人と組織の「目指したい方針」のベクトルを調整していくことも行っていきます。

■ Step3 個人の「ミッション・ステートメント」(行動指針)を創る


  Step2で共有しあい、調整を行った個人の「掲げていきたい強み」を、個人の行動指針(ミッション・ステートメント)として言葉に落としていきます。「良い行動指針を意識して作りたい」という方は、以下の行動指針を創るポイントをご参考ください。
■行動指針を創る際のポイント
・テーマを鮮明にする
・刺激的、挑戦的、現状を破っているものにする
・地に足がついていて、かつ理想の状態を描く
・本当に皆が望んでいるものにする
・肯定的な言葉で描く
・自分または組織の強みを活かしたものにする

 ■ Step4 日々の生活で、ミッション・ステートメントを意識する(振り返る)時間を設ける


Step3で掲げた行動指針を活かし、そして強めていける為に、日々の生活で意識する、振り返る時間を持つようにします。手法は様々あります。最近ですと、「瞑想」や「マインド・フルネス」といったアプローチで実践されている方も多いようですね。そして、このStep4が一番重要と言えるでしょう。せっかく立派な行動指針を掲げても、意識が薄まってしまったら元も子もありません。

 自身の掲げた行動指針を振り返るためのアプローチとして、私のお薦めは「一日の終わりに、取り組められたことを(どんな些細なことでも)3つ書き出す」ということです。

 日々の業務はときに、非常にストレスフルでかつご自身の意に沿わないようなものになることもあるでしょう。ですが、そのようなときでも、些細なことでも「こういう風に考えられた」「こういう経験ができた」という風に、良かった点を見つけていくことによって、自己肯定に繋がっていきます。そして、人は自己肯定感を高く持つことによって、行動を強められるのです。

「毎日、良いことを3つ書く」というのは、ポジティブ思考を強めていく訓練としても有効です。日課として続けていくうちにほんの些細な事柄からもポジティブなイメージを受け取れるようになり、それは貴方の世界を捉える感性をより高めていくことにも繋がるでしょう。

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 今回、「働きがい」「やりがい」という観点からポジティブ心理学についてお話をしてみましたが、いかがでしたでしょうか。

 「内容は理解できたけど、ポジティブな感情を持続し続けるのは大変そう」「結局、継続しなきゃ意味がないんじゃないの?」と思われた方向けに、最後に以下の資料をお見せします。


持続的なポジティブ感情に影響を及ぼす要因(Wikipedia「ポジティブ心理学」より)
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 ポジティブ感情を持続しやすい・されにくいというのは、確かに先天的な性質・性格によるものもあるようですが、それでも50%の範囲内なのです。また、環境的要因はたったの10%です。つまり、今皆さんが掲げている(もしくはこれから掲げるであろう)ポジティブ感情が継続するかどうかは、「本人の意図的行動」に架かっている割合がかなり大きい、ということです。

 「働きがい」「やりがい」もまた、同じことが言えるとでしょう。

 もちろん、ポジティブ感情も、働きがい、やりがいも、周囲の人たちとの相互支援があると尚良いですが、何よりも、それらは周囲から与えられるのを待たなくてはいけないものではなく、「自発的な行動によって、道が形成され未来が象られていくもの」と捉えることが何よりも重要であると私は思っています。

そして、そう考えることによって、日々の業務も今まで以上にエキサイティングなものに感じられ、まさに働きがい、やりがいのある毎日を送れるようになるのではないでしょうか。
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LeverageShare編集部

これからは「個人」と「会社」が共に輝き成長する時代です。 「Leverage Share」はシェアする時代の新しい仕事づくりを支援します。 奪い合うのではなくて分かち合う、そんなきっかけとなる記事を投稿していきます。

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